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静かに深く染み渡る、墨絵の魅力

2011年10月18日

ようこそ、墨絵の世界へ__。
今日は、超ビギナーの視点で、奥深い墨アートの世界をナビゲートしてみましょう。

先日、知人の紹介で「第33回墨絵展2011━今日の墨表現━」(2011 9/6~9/16開催・元麻布ギャラリー)を見てきました。

墨絵展は1978年に「現代絵画に墨の復権を」を理念に立ち上げられ、今年で33回目。
伝統ある水墨画の世界を尊重しつつも、新しい視点からの水墨表現を追求していこうと、油画家やデザイナー、イラストレーターなど様々なジャンル出身のアーティストが参加しています。

墨絵というと、私の中では日本古来の風景画をイメージしますが、展示されている作品はデザイン性の強いものや、ユニークな表現方法など実に多様。
パッと見では近寄り難く感じても、怖がらずにリラックスして向き合うと、想像力がかきたてられることに驚きました。

まずは、こちらの作品をご覧ください。


稲垣三郎「夜翔する木精」 原寸80×80
(※以下、作品の作者名は敬称略・サイズはセンチ)

この動きのある絵は、荒れ狂う海のようでもあり、どこかやさしい波のようでもある。遠くには古(いにしえ)の水墨画を思い起こさせる木々も。風に揺れる赤い旗らしきものの先にはやわらかい光が…。
細かく1つ1つの描写に見入りながら、全体で発するメッセージを感じようとしていると、静かな興奮の時間が過ぎていきます。

作者の稲垣さんは墨絵画家であり、墨絵展の世話人代表をしています。

『自由な発想を墨で、自由な表現を墨で』の方針から様々なアーティストにこの世界の魅力を広めることに注力。当初10数人だった参加アーティストも今では30人近い規模に拡大しています。

「墨絵展に参加するために、特別な水墨画の知識や技術は重要ではありません。墨の持つ特長、日本的な美を追求しながら、独自の世界観を表現することを大切にしています」と稲垣さん。

次に、今年の展覧会から4作品をご紹介しましょう。
今度は、墨絵の魅力や作品について、各アーティストの解説を交えながらお楽しみください。


藤倉春日 「花色の季」 80×100

藤倉さん)花の真実・生命力に迫りたいと、一貫して花を描いています。雑念を排除し意識が自由になり、色以上の色を感じられるところが墨の魅力。その分、美しさの追求では墨色の諧調(かいちょう)に苦労します。



Darius 「モザイク」 142×93

Dariusさん)今回の作品には和紙に墨、そして洋紙に印刷用インキを使っているということで、「西洋と東洋の融合」という意味も含まれています。同じひとつの作品に複数の技法を採用することで、「普遍性」を目指しています。


西元利子「聖母の初聖体拝受」 70×70

西元さん)この作品は聖母の受胎告知を描いています。
絵を描く以前から、最小限の突き詰めた形というのが頭にあったので、色は白と黒だけ。墨はいろいろな性質があるので、それぞれの特長を生かすことは難しい。少しずつ求めるものに近づいていきたいですね。



荒井恵子「胞衣(えな)」 168×138

荒井さん)3・11の大震災を目の当たりにし、改めて、生について考えてみました。
今回の作品は、胎盤の薄い膜の中、羊水の無限の可能性を秘めた優しい力強さと、はかりしれない可能性の広がりをイメージしています。母体で命が育まれるという人類の繁栄は、科学が発達した現代でも解明されないことがたくさんあります。内に秘めた、目には見えない力や日々変化する可能性を描きたいと思いました。

さらに荒井さんは「墨の黒はどこまでも広がる宇宙の黒であり、こちらが限界を決めなければどこまでも優しく広がり、観る人の心の奥底に思いを届けてくれる。だからこそ、こちらの側も力強い意志と共に向かっていかなければ応えてはくれない。そこが難しさでもあり、魅力でもある」と墨の魅力を語ります。

いかがですか? 予想以上に絵が語りかけてくるのを感じませんか? 
敷居の高い世界だと感じていた私に、稲垣さんは「まずは、自由な視点で楽しんでみてください。様々な作品を鑑賞していると自然に目は肥えてきますよ」とアドバイスをくださいました。
難しく考えず、作品と向き合い、心の中に湧いてくる想像力を楽しめばいいんですね。

最後に、解説なしで1作品。


柏木喜久子「2011━象(しょう)━」 91×1167

あなたは何を感じましたか?


墨絵展の次期開催は来年ですが、個々のアーティストは随時、個展を開催しています。
作品や個展などの情報は墨絵展のホームページをご覧ください。
sumiart-today.com

墨絵展の世話人・稲垣三郎さんのホームページ
saburo-arts.jp(ネーム検索も可)

(今井 美由紀)

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