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愛あふれるガラスのキラメキ、魅惑のラビリンスへようこそ

2012年03月05日

昨年3月、パリのポンピドゥーセンターで開催され3カ月間で20万人という記録的人数を動員した「ジャン=ミシェル オトニエル:マイウェイ」展。
同回顧展が日本でも開催されていると聞いて、東京・品川の原美術館へ行ってきました。

ジャン=ミシェル オトニエルは、フランスを代表する現代美術のアーティスト。
パリの地下鉄「パレ ロワイヤル ミュゼット ド ルーブル 」駅入り口を彩る大作「夢遊病者のキオスク」(2000年)でその名を広く知られています。
近年の作品には、ヴェネチアンガラスで有名なイタリア・ムラーノ島の色鮮やかなガラスが多く用いられ、詩情と官能にあふれる洗練された作品群が多くの人々に愛されています。

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「夢遊病者のキオスク」(2000年)のための最初のデッサン(水彩画)


日本初となる今回の個展は、もと個人邸宅であった原美術館の空間を生かして再構成されたもの。
硫黄や蜜蝋を用いた繊細でプライベートな初期の作品から、メタリックな鏡面ガラスを使った魅惑的な最新の大型作品まで代表作約60点が一挙に公開され、オトニエルの25年の歩みを一望することができます。


<ギャラリーⅠ>で、まず目に飛び込んでくるのが光を透かして輝くカラフルなガラス玉の天蓋付きベッド。レースにも見えるアルミニウムの造形がまるで海から沸き立つ泡のようです。ふかふかのピンクの寝床はフェルトが肌触り良さそう。メリーゴーランドを彷彿させます。
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「私のベッド(Mon Lit)」ムラーノガラス、アルミニウム、飾りひも、フェルト 2002


奥の窓辺に置かれた「秘密の箱」と題された作品は、側面がヴェルサイユ宮殿の窓ガラスやヴァンスのロザリオ礼拝堂のステンドグラスなどを手がけた「サン=ジュスト(Saint-Just)」工房のガラス製。
箱の中に何がしまわれているのか、想像が頭の中を巡ります。

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「秘密の箱(Le Coffre a Secrts)」ガラス、アルミニウム、鏡、木 2007


<ギャラリーⅡ>には、3メートル近くもある2連の巨大なネックレスのような作品が設置されています。鏡面ガラスのメタリックな玉がジュエリーのように輝きを放って力強くうねり、のぞき込む人々の顔を映し出しています。

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「自立する大きな結び目(Le Grand Noeud Autoporte)」鏡面ガラス、金属 2011


さらにまっ白な5メートルもある細長テーブルの上には、たくさんのガラスつぼがずらり。水を張って蓋を閉められたそのなかには、様々なモチーフのカラフルなパーツが閉じ込められています。

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「涙(Lagrimas)」ガラス、水、テーブル 2002


近くの天井からぶら下る1対の可憐な作品「吊り下がる恋人たち(Les Amants suspendus)」。目から溢れ出た涙のようにも見えます。

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「吊り下がる恋人たち(Les Amants suspendus)」ムラーノガラス 1999


2階へ行くと出迎えてくれるのは、黒ガラスのシックな巨大ネックレス。ガラスの透明感はなくとも、艶々と自ら輝いているような存在感が見るものを圧倒します。

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「黒は美しい(Black is beautiful)」ムラーノガラス 2003


<ギャラリーⅤ>のフロアに浮かぶ「ラカンの大きな結び目(Le GrandDouble Noeud de Lacan)」と「ラカンの結び目(Le Noeud de Lacan)」は、始まりと終わりのない1連の輪。見る位置によって様々に変わり、ある角度からはハートの形も発見できます。天気の良い日には、ガラスの色味もまた違って見えるはず。


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「ラカンの大きな結び目(Le Grand Double Noeud de Lacan)」鏡面ガラス、金属 2011


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「ラカンの結び目(Le Noeud de Lacan)」鏡面ガラス、金属 2009

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同館のザ・ホールでは、フランスの人気子ども服ブランドBonpoint(ボンポワン)協賛のもと、キッズ向けワークショップ『ふしぎな現実』も開催。世界各地に散らばるオトニエルの主要な12作品が、3D画像で再現され、画像のなかにいるような不思議な感覚が味わえます。また、彼自身による水彩画やドローイングのコピーに自由に加筆やぬり絵ができるコーナーではアートに触れる楽しさを体感することができます。


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「マイ ウェイ」ムラーノガラス、アルミニウム留具 2010 


ある二つの大きな悲しみを乗り越えて、願いや祈りをきらめく作品へと昇華させて行ったオトニエル。展覧会名「マイウェイ」はフランク・シナトラの名曲から引用されたもの。「人々の生活に魔法をもたらしたい」という思いをもって独自のスタイルで創作活動を続けてきたオトニエルの歩みが象徴されています。


【開催期間】2012年3/11(日)まで
【開催場所】原美術館
【展覧会ウェブサイト】 http://www.haramuseum.or.jp                           

                        (吾妻りえ)

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