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女としての時間もキャリアも欲しい!もがく母を描く映画2選

2014年11月10日

「家庭と仕事の両立に悩む」という言葉はよく聞きますが、今はそれだけでは物足りない女性が増えています。

仕事はキャリアといえるものであって欲しいし、母親ではなく一人の女性として愛される時間も欲しい。でも、全部を得るのはなかなか難しいですよね。

今回ご紹介する映画では、すべてを手にいれるべく奮闘する女性を描いています。

同じキャストを12年間追った映画『6才のボクが、大人になるまで。』


(c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.

6才の少年とその家族(父、母、姉)の変遷を描いた映画『6才のボクが、大人になるまで。』は同じ主要キャストで12年に渡り撮り続けた画期的な作品。

リチャード・リンクレイター監督はこの作品で第64回ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)を受賞しました。

映画は主人公が引越しをするところから始まります。

ミュージシャンの夢を捨てきれない父に愛想を尽かして離婚した母は、「もっといい仕事につきたい」と大学へ行くことを決め、実家のあるヒューストンに引っ越すことにしたのです。

できちゃった婚をした父母は、若すぎて親になりきれていなかったのかもしれません。

恐らく同じように育児や家事に疲れた女性は日本にも多くいますが、みな実行には移せず不満が募るだけ。映画の母は実行力が違いました。


(c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.

大学で学ぶ母はクラスの先生と再婚します。しかし、絶対的権力者として振舞う2番目の夫がDVを振るようになり、逃げるように離婚。

母は大学で教えるようになり、パーティーで知り合った元陸軍兵の男性と結婚しますが、結局はまた離婚。
「懲りないねぇ」と思わずつぶやいてしまいしたが、子どもも大きくなり、キャリアも手に入れると、女としての自分も満たされたくなるのでしょうね。

主人公の父を演じるのはイーサン・ホーク。
12年前のイーサン・ホークは若くてカッコいい! 母が惚れるのもわかる。

ずっと同じキャストで演じているので、イーサン・ホークが少しずつ渋くなっていく12年間をダイジェスト版で見ているようで、ファンならずともうれしくなります。

離婚後、ミュージシャンの夢は諦め、保険計理士の資格を取り、保険会社で仕事を始めた父は子どもたちとは時々しか会えないものの、キャンプに出掛けたり、女の子との付き合いで相談を受けたりと父親としての役割をキチンと果たします。

もし、父が親として成長するのを若いときの母がもう少し待てていたら…。いや、離婚したから父も親として成長できたのでしょうか。

映画は6才だった主人公が高校を卒業し、大学に進学するために家を出るところで終わります。

母は本を書いて出版するという次の目標に向かい、一人暮らし用の家に引越しをします。

社会人になった娘を自宅に置いておきたいと思う私は、この潔さを見習わなくてはいけませんね。

『6才のボクが、大人になるまで。』
11月14日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
PG12指定
原題:BOYHOOD
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレーター、イーサン・ホーク
(c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved. 
公式HP:http://6sainoboku.jp/

頂点を極めた裏にある葛藤をく映画『ストックホルムでワルツを』


Carlo Bosco © StellaNova Filmproduktion AB, AB Svensk Filmindustri, Film i Vast, Sveriges Television AB, Eyeworks Fine & Mellow ApS. All rights reserved.

スウェーデンが生んだ世界的ジャズシンガーであるモニカ・ゼタールンド。
彼女は英語ではなく母国語でジャズを歌い、スターダムにのし上がり、巨匠ビル・エヴァンスとの共演「ワルツ・フォー・デビー」で国際的な名声を築きました。

この作品はモニカが歌手として頂点を極めるまでの波乱に富む数年間に焦点を当てた感動の実話です。

シングルマザーのモニカはストックホルムから遠く離れた田舎町に両親、娘と暮らしていました。

電話交換手として働きながら、夜はジャズシンガーとしてステージに立つ日々。
モニカは父親からは「母親失格」と言われますが、シンガーとして成功する夢を諦めきれません。

「自分が夜、家にいなくても両親が娘を預かっていてくれる」という安心感がモニカの心の奥底にあるからでは。たった一人で子育てをしていたら、子どもを家に置いてステージに立つことはできなかったでしょう。

最初のチャンスは有名なジャズ評論家から「NYで歌わないか?」と誘われたとき。それはちょうどクリスマスの時期。

娘にNYに行くことを伝えると「クリスマスは?」と尋ねられ、一瞬、言葉に詰まるモニカ。母よりもキャリアを選んだモニカですが、娘を前にしたら平静ではいられませんよね。これでいいのかと葛藤があったと思います。

残念ながらNYではうまくいかず、挫折した思いで帰国。

父親の反対を押し切り、娘を置いて家を出て、ステージに立ちます。

母国語でジャズを歌うことを考えるモニカにベーシストのストゥーレが詩人のベッペ・ヴォルゲシュを紹介。ベッペの書いた歌詞でジャズのスタンダードナンバーを歌い始めたモニカはスターの階段を上り始めました。

やがて有名な映画監督・ヴィルゴットと知り合い、彼の心を射止めます。

彼は娘との生活、セレブリティへの仲間入りの2つをもたらしてくれる存在でした。

モニカはヒット曲にも恵まれ、母、キャリア、女のすべてで幸せをつかんだのです。すっかりモニカになった気分で見ていた私まで有頂天になっていました。


Carlo Bosco © StellaNova Filmproduktion AB, AB Svensk Filmindustri, Film i Vast, Sveriges Television AB, Eyeworks Fine & Mellow ApS. All rights reserved.


でも、人って欲張りですよね。幸せは手にするとそれはもう当たり前のことになって、もっと上が欲しくなる。大きな家を購入し、ひんぱんにパーティーを開くモニカ。いつも人にちやほやされていたいモニカ。
そんな母につき合わされ、生活リズムが不規則になってしまう娘はどんな気持ちで母を見ていたのか、母にとって自分は一番ではないと寂しい思いを抱えていたのではないでしょうか。

人生、良いことばかりではありません。映画監督・ヴィルゴットとの破局、お酒と薬を乱用しながらのオーバーワークでモニカは体調を崩し、娘は自ら祖父母のところにSOSの電話を掛けます。

やっと手にした娘との生活を手離さなければならないモニカ。彼女にとってどん底の時期だったのかもしれません。欲張らず、ほどほどで満足していたら…。そんな思いが過りました。

しかし、常に上を目指し野心的な生き方をするモニカは再起に成功。本当に愛する人が誰なのかにも気づきます。娘との生活も取り戻しました。

モニカのあふれるようなバイタリティーには感服。普通の人には真似できませんが、映画を観ている2時間弱はモニカになりきってすべてを手に入れた幸せを感じてみるのもいいですね。

『ストックホルムでワルツを』
11月29日、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督:ペール・フライ
音楽:ペーター・ノーダール
キャスト:エッダ・マグナソン、スベリル・グドナソン、シェル・ベリィクヴィスト
Carlo Bosco © StellaNova Filmproduktion AB, AB Svensk Filmindustri, Film i Vast, Sveriges Television AB, Eyeworks Fine & Mellow ApS. All rights reserved.
公式HP:http://stockholm-waltz.com/ (堀木三紀)

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