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【LETS10周年記念書籍】 資料集めは点と点をつないでいくこと・小宮麻衣子さんが書く、明治の女性

2017年09月08日

・・・・・LETS修了生インタビュー 小宮麻衣子さん

10周年に向けて、LETSの魅力を発信していくシリーズ企画。
「修了生インタビュー」では、プロとして活躍中の先輩たちにLETSで得たことや現在の仕事について話を伺います。

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▲話し方も優しい小宮さん。和やかなインタビューに

小宮麻衣子さん(5期)は、LETS修了後の2015年にシナリオライター常田麻宇として時代劇を書き、ラジオ日本の脚本募集で採用され、放送されました。2016年には「第4回杉崎智介脚本賞」佳作を受賞しています。

さらにLETS10周年記念書籍では、明治時代の女性作家・三宅花圃にまつわる時代小説を執筆しています。

小説の舞台は、LETSの講義が行われている麹町。かつてこの地で、大家族を支えながら文筆家として活躍し、変化の時代を生き抜いた女性の姿が描かれています。

史実を基にしたシナリオや小説を書くにあたり、どのように資料を集め、ストーリーを紡いだのでしょうか。


◆いろいろな要素が揃い、創作に夢中に

――時代物の脚本や小説を書こうと思ったきっかけは何でしたか。

LETSを受講していたとき、課題として提出する企画案で私が思いつくのは、古い事柄や歴史に関するものばかり。周りからも指摘され、自分が歴史に興味があることに気付いたんです。小さいころは好きだったのですが、しばらく忘れていたんですね。
LETSを終えた後は、もう課題に縛られず自由に書けると思って。調べた史実をどうやって伝えるかと考えたときに、記事として紹介するよりも、それらをベースに創作したいと思いました。
2年近くはどこに出すでもなく勝手に小説やシナリオを書いていましたが、勉強のために「シナリオ・センター」という教室に通いました。

――小説ではなく、シナリオですか。

なぜ、シナリオだったのかというと、映像業界に就職して仕事をしていたことと、私の育った家が映画製作をする独立プロダクションで、カメラマン集団だったこともあります。祖父から「シナリオの勉強をしなさい」と勧められていました。「女性は結婚して子どもができても、書くことならどこでもできるから」と。でも当時は創作活動なんて自分にはできないと思い込んで、全くやらないでいたんです。

――LETSを受講したことが自信につながったのでしょうか。

課題では、興味のないことでも調べて期限までに書きますよね。それこそ脳が沸騰しそうなくらい考えて。LETSでの1年を通して、自分なりに「何でも書こうと思えば書ける」と思えるようになりました。
歴史と調べものが好きだったことや、家族の影響など、いろいろな要素があって「よし、やってみよう」と。

◆調べることで、一つ一つの点がつながっていくのが面白い

――記念書籍では、なぜ三宅花圃を取り上げたのでしょうか。
時代劇を設定しては歴史について調べていたのですが、あるとき検索していたら、「近代女性初の小説家」として三宅花圃さんがたまたま出てきたんです。ゆかりの地が麹町とあって、私も子どものころに麹町に住んでいたことがあったので目に留まったんですね。その時は、少し点のように残ったくらいでしたが、10周年記念書籍の企画を出すことになり、彼女を思い出しました。LETS生は、みんな麹町に通っているし、文筆家なので共通点があるのではと。
シナリオでは読みにくいかと思い、企画書に小説と書いたのですが、採用が決まったときは焦りましたね。期日が短くて、資料もしっかりと集める必要が出てきたので、また脳が沸騰しました。

◆あらゆる方向から細かな情報を収集

――ストーリー構成のための情報収集や取材で難しいところは。

例えば、花圃さんが麹町のどこに住んでいたかを調べたとき、最初の資料にあった番地が、次の資料ではその番地とは違うことに気づきました。今度は花圃さんのお父さんの方を調べ、彼女の父親は明治に活躍した人物なので紳士録に載っているではないか、政府の役職に就いていたので官報に出ているのではないかと、公文書館のサイトを検索して。昔はそこに役職や住所が書いてあったので、それを年ごとに見ていきました。
自分の中で、ここに花圃さんは住んでいただろうと思えましたが、確信は持てなかったので、確実なところを小説に盛り込みました。

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▲今回の資料の一部。手前の書籍は、三宅花圃の父親、田辺太一著『幕末外交録1・2』

◆三宅花圃のこれまでのイメージと実像に違いを感じて


――花圃さんは、時代の先を行くような女性ですね。

彼女は小説家、歌人であり、樋口一葉の姉弟子にあたります。小説やドラマでは一葉さんに意地悪をしていたかのように描かれてしまうことがあるのですが、調べていくうちに、そんな人ではなく、いろいろな心の葛藤のある人だと感じて、学ぶところがありました。
1人の人間として、もっと評価されていい。自分の生きる道をちゃんと分かっていて、書くことでしっかりと生きた人。そんな彼女の人間像を表現できればいいと思いました。

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三宅花圃の処女作『藪の鶯』は、明治以降の女性作家による初の小説です。結婚後も子育てや介護をしながら文筆活動を続け、晩年まで活躍したという生き方は、意欲的に創作を続ける小宮さんの姿勢とも重なりました。

・小宮さん執筆の時代小説(LETS10周年記念書籍収録)
「暁の空を見上げて ~明治の文筆家、花圃のいた麹町~」

★LETS10周年記念書籍は2017年11月18日発行予定です。

(19期 ささき れいこ)

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