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癒しについてアートが教えてくれること 「ソフィ カル―限局性激痛」(原美術館)を見て

2019年01月25日

人生最悪の出来事が起きてしまったらどう乗り越えていくのか。
 フランスの現代美術アーティストのソフィ・カル(1953-)は大失恋した時の経験を作品にしました。

その苦しみを人に語り、代わりにその話し相手にも自身の苦しんだ経験を語ってもらい記録するという方法によって。

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「ソフィ カル 限局性激痛」原美術館コレクションより 展示風景
©Sophie Calle/ADAGP Paris and JASPAR Tokyo, 2018
Photo by Keizo Kioku

 

 現在東京・品川の原美術館で開催中の美術展『「ソフィ カル―限局性激痛」原美術館コレクションより』はその体験を作品化したものです。

限局性激痛とは医学用語で身体部位を襲う限局性(狭い範囲)の鋭い痛みや苦しみを意味します。

カルは自身の経験を写真と文章によって紡ぎだすアーティスト。タイトルにはカルの失恋が表されています。

展示は失恋が発覚した日が基点となって、その前と後の二部で構成されています。
第一部では運命の日までの92日間を1日ずつカウントダウンしながら写真、手紙、文章などで綴り、失恋後の第二部では数日ごとに元恋人の裏切りに対する痛切な思いを布に刺繍で書いた文章とともに、話相手の悲しい体験話と写真を一対にして展示して見せました。

第二部では他人と悲しみを共有することによって、苦しみから立ち直っていく様子が、つぶさに読み取れます。自分の体験を客観視し、抽象化していく経過がその文章から明らかなのですから。3カ月後には厄払いは完了し、カルは苦しみから解放されたことを確信します。

癒しの過程を詩情溢れる写真と文章という手法によって、アートで提示した本展。幸せな恋愛から破局を迎え立ち直るまでの一連のスリリングな展開に鑑賞者は引き込まれながら、誰しも遭遇する個人的で痛切な思いと重ねることができます。カルのように傷ついてもなお強く生きていくことを願っている人に特にお勧めしたい美術展です。
 
S.Calle_Jean-Baptiste_Mondino.jpg

ソフィ・カル 近影
Photo : Jean-Baptiste Mondino

【プロフィール】1953年パリ生まれ。現代美術アーティスト。
ホテルの宿泊客や拾ったアドレス帳に載っている人物など、見知らぬ人を対象に撮影した写真、文章による作品で知られ、「盲目の人々」(1986年)では盲人に焦点を当てたシリーズで美術に対する考察を行い大きな反響を呼んだ。

展覧会名 「ソフィ カル―限局性激痛」原美術館コレクションより
会場   原美術館(東京・品川)
TEL 03-3445-0651
E-mail info@haramuseum.or.jp
ウェブサイト https://www.haramuseum.or.jp
開館時間 11:00~17:00(水は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日  毎週月曜日(2月11日(月)開館)、2月12日
観覧料  一般1,100円/高校・大学生700円/小・中学生500円
会期   2019年3月28日まで
(開館時間、入館料等詳細はウェブサイトを参照)

(20期髙瀨嘉代)

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