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防災から介護まで 誰にも役立つ「おんぶ」シンポジウムに参加してきました

2019年03月15日

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ちょっと懐かしい日本の文化「おんぶ」。その素晴らしさを啓蒙する“NPO法人Umiのいえ”が、3月8日、おんぶシンポジウムを開催しました。

午前は、子育てが始まったばかりのママ向け。
午後は、災害時にママたちを支える病院や保育所など支援者向けの2部制です。

今年で4年目となる今回のテーマは「いのちをつむぐ おんぶ~心と身体と防災~」。LETS 22期生の上村と寺崎が取材しました。

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※会場は、赤ちゃんや幼児連れのママでいっぱい

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1人目のゲストは、日本にベビースリングを広めた、抱っことおんぶの専門店「北極しろくま堂」創業者の園田正世さんです。

赤ちゃんの全身が密着するおんぶは、かけがえのない親子のコミュニケーション。それ以外にもメリットがあると語ります。

「日本のおんぶは、世界に類を見ないほど背負う位置が高いので、赤ちゃんはお母さんの肩越しに、同じ世界を見ることができます。親が畑仕事や家事をしている間、お湯の沸かし方や野菜の切り方を、背中の上で学ぶことができるのです」

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会場にはたくさんのカラフルなおんぶ紐や兵児帯が並びますが、専用のものでなくても、さらしのように細くて長い布があれば、誰でもおんぶすることができます。
中学生くらいなら、大人を背負うことも可能だそう。

家族の介護や災害時のケガ人救護など、幅広く役に立つおんぶ。

「自分の子でなくても、誰かの赤ちゃんを助けることもできますよね」と話してくれたのは、この会の運営責任者、佐藤亜衣さん。

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2人目のゲスト、アウトドア防災ガイドのあんどう りす さんは、『ちいさな いのちをまもる ママの防災』をテーマに、日常に寄り添う防災術を伝授。

「市販の防災リュックより、子どもに必要なものが詰まったママバッグを防災仕様にするほうが確実に役立ちます」
そこに必ず入れたい、命を守る5点セットは、ホイッスル、LEDヘッドライト、携帯電話(防災アプリ入り)、マルチツール、そして、知恵のある自分自身。

ビニール袋でおむつを作れると知っているだけでなく、その仕組みを理解し、必要なものが揃わなくてもあるもので工夫できることが大切です。

午前の部のラストは、おんぶ体験タイム。

赤ちゃんも安心できてママも楽になるおんぶの仕方を、一人一人丁寧に教えてくれました。

たった一枚の布なのに、赤ちゃんとママの体は想像以上に密着し、ずり落ちません。
ベビーカーや抱っこで避難するより、両手が空く分むしろ安心感があるようです。

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※会場では、おんぶ紐や兵児帯、防災グッズの販売も

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※たくさんの配布物とともに、私たちの作った「がんばらないミニマム防災術」も配布


午後は支援者向け講座。

各地で布製抱っこ紐の使い方を伝えている「ベビーウェアリングコンシェルジュ」や、助産師、保育士、子育て支援員など子供に関わる職業の方々が参加しています。

『支援者の備えと防災』をテーマにしたあんどうさんのお話では、「日本の避難所は難民支援の基準以下」という衝撃の言葉が。

災害や紛争時の避難所の最低基準を定めた「スフィア基準」*に照らすと、日本の避難所にはまだまだ改善すべき点が多いそうです。

たしかに、すし詰め状態で炊き出しを待つ、といった光景が浮かぶ日本の避難所はとても快適とはいえません。

対照的な例として紹介されたのがイタリアの避難所。災害が起きるとキッチンカーがやってきてシェフが作る温かい食事が提供され、簡易ベッドや家族単位で入れる冷暖房付きテントまで支給されるのだとか。

なぜこんなにも違うのでしょうか?

理由のひとつに「日本では“根性で頑張る”と、精神論で乗り越えようとしてしまう面があるのでは」とあんどうさん。

「我慢は美徳」と耐えるだけではなく、どうしたら快適にできるかを考えて、システムを変えていくことが重要だといいます。

*スフィア基準(スフィア・プロジェクト)のホームページ
https://www.janic.org/activ/earthquake/drr/sphere/


園田さんは災害時に役立つ抱っこやおんぶを伝授。普段使っている抱っこ紐などが手に入らない時に、身近にあるもので抱っこやおんぶをする方法を実演してくれました。


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コートの中に赤ちゃんを入れて、落ちないように腰を紐で縛る。紐は写真で使っているネクタイのほか、ベルトでもOK。何もなければ電気のコードでも! 落ちないように縛ることができればよい。

他にもパーカーや、Tシャツとさらしを使ったおんぶの仕方など、いろいろなアレンジができることに参加者も驚いた様子。

いざという時には、トートバッグで赤ちゃんを運ぶという意外な方法も。

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トートバッグにタオルなどを敷く

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赤ちゃんが安心するようにバスタオルなどでくるむ

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トートバッグに入れる
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「安全におんぶをするにはお母さんにも赤ちゃんにも慣れが必要。普段の生活で抱っこやおんぶをしていないお母さんが、災害時に慣れない方法で赤ちゃんを抱いて逃げたりするよりは、トートバッグに入れた方がよほど安全です」と園田さん。

あんどうりすさんと園田正世さんのお話で共通していたのが「仕組みを知って自分で考えること」の大切さ。布や衣類を使って抱っこをする時にも、仕組みを理解していればさまざまな活用のアイデアが生まれるといいます。

グッズがないと何もできない、ではなく「一つのものでいろいろなことができると感じられる支援者になってほしい」という言葉が印象的でした。

おんぶを通して、シンプルな道具が持つ可能性を感じることができた今回のイベント。

便利なものが溢れる世の中ですが、災害時には「頼れるのは自分だけ」という状況もあり得ます。
自分の頭で考え知恵を絞って工夫する。そんな普段からの心がけが、いざという時の大きな力になると気付かされた一日でした。

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※主催のNPO法人 Umiのいえ スタッフの皆さん

NPO法人Umiのいえでは、今後も子育て、食、身体や心の健康などをテーマにさまざまなイベントを予定しています。
http://www.uminoie.org/p/umi.html


(22期 上村敦子、寺崎靖子)

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