朝、下の娘を保育園に連れて行くのは時間的に余裕のある夫。
それでも、私が出た後、すぐに出る日もある。
そんな日は娘が必ず
「おかあさん、手、振ってね」と言う。
交差点を左に50mくらいの位置にバス停がある。
娘を後ろに乗せた自転車が交差点を渡るとき
娘はうれしそうに手を振る。
私も振る。忘れなければ…。
そう、忘れなければ…。
玄関を出るときまでは覚えているのだけど、
1歩、外に出ると「今日はまず、〇〇社に電話して…。〇時に…」と
スケジュールを考え始めると忘れてしまうのだ。
バス停でボーっと立っていると
「バイバイ!」
大きな声で娘が横切っていく。
今日も忘れてしまった。
「バイバイ!」
大きな声で叫びながら、娘が横切って行った。
顔を向けると、赤信号で止まっていたバイクの男性が
娘に向かって手を振り…
すぐに気づいたのか、振り向いて、私のいるバス停を見た。
振り返そうとした私の手は中途半端に上がったままだ。
信号が青になると、男性は進んだが、角のコンビニにバイクを止めた。
ヘルメットを取り、こちらを向いて、軽く会釈し店に入って行った。
まだ、若そうな青年だった。
いやぁ~、いい人!
朝から感動していまった。
彼のお陰で、すてきな朝になった。
娘の保育園通いも残すところ2日。
私から手を振れる日があるだろうか…
あいはらこずえ
