1年生になった次女を見送りながら、ふと思い出した先生がいた。
8年前、専業主婦をしていたとき、近くの保育園の“体験保育”に参加した。
子育てが初めてのおかあさんと子どもを対象とした育児体験のようなもの。
週2回、保育園に親子で通い、同じ年齢の幼児のクラスで子どもを遊ばせる。
先生の対応を見て、育児を学ぶ…言葉にするとそれだけなのだが、
大変勉強になった。
1歳児クラスに入った娘はすぐに慣れたが、
1歳児のママの私は先生に注意されてばかり・・・
「おかあさん、そこは、手を出さないでください」
「おかあさん、それは、無理な要求ですから」
保育園の先生は、子どもより、私にとっての先生だった。
2人目を妊娠して、体がつらくなり通うのをあきらめた。
数年後、仕事に復帰し、その保育園に娘を通わせることになったが
その先生はもう、いなかった。
病気で退職されたとのことだった。
その年の運動会に先生が来てくださった。
縁あって、入園したことを伝えようと近づくと
「あら、Mちゃんでしょ?よく覚えているわ~」と当時の話をしてくれた。
1年通ったかどうか、しかもたった週2回だったのに…
次に先生にお会いしたのは娘の卒園式の日だった。
「体の調子が悪く、みんなと最後まで過ごせなかったけど、
みんなが無事、卒園できてうれしい。これで私の中のなにかがふっきれた」
どんな気持ちで園を去り、どんな気持ちで過ごして来られたのかと思うと
胸がいっぱいになった。
入学式を終え、そのことを先生に伝えるお手紙を書いた。
梅雨に入りかけるころ、先生からお返事が来た。
「梅雨空の元、ランドセルに黄色のカバーをつけ、黄色の帽子をかぶり
一生懸命歩いている1年生をみると、ゆり組み(保育園の年長組)の子どもたちの
顔、姿と重なります」
それから、3年の月日が経った。
黄色のカバーを見て、先生を思い出した。
あいはらこずえ
