
「子育てってこういうものなんだ、世の中のお母さんは本当に大変なんだ」と、今の心境を語るのは、(株)カフェグローブ・ドット・コム代表取締役社長の矢野貴久子さん。昨年の11月に45歳で出産、長い間念願だった母となった。
会社を立ち上げたときと同じように「これだ!」と思ったことは、迷わず突き進む向こう見ずな性格は、数%の可能性さえあきらめない。
約8年編集者を経験した後、医者を志すが再び編集の世界へ。その後“自己実現したい女性の役に立ちたい”と、女性のためのサイト「カフェグローブ・ドット・コム(cafeglobe.com)」をスタートさせる。現在は月間ユニークユーザー40万人を超える人気サイトに成長。その活躍は多方面から注目されている。
ジャガー横田さん45歳で出産「私にもできるかも!」
30代までは仕事に夢中で、子どもが欲しいと思うことはなかった。しかし、41歳で2度目の結婚をし「子どもを産む!」と決意、不妊治療を始めた。「治療中はいつもウツウツとしていて、捻出する時間と年齢というタイムリミットとの戦いだった」。忙しく働きながらの治療は、なかなか妊娠という結果に結びつかず中断もした。
出産をあきらめ治療を止めようと思っていたころ、ジャガー横田さんのニュースを耳にする。「ラストチャンスかもしれないと思うと、迷いはなかった」。成功率の低さから治療に積極的ではなかった担当医には「可能性がちょっとでもあるのなら、もう一度挑戦してからあきらめたい」と訴えた。今やらないと一生後悔するだろうとの思いから、あえて子どもが生まれた後のことは考えず、「仕事は絶対なんとかする!」という強い覚悟のもと、母になるための挑戦を再開した。
その結果、数%の可能性は現実となった。「生まれてから1カ月間は目の前のことに対応するのが精一杯。最近笑うようになり、子どもっていいものだなと思うようになった」と、あきらめなかったからこそ味わえる新鮮な喜びを実感している。
出産を振り返り「高齢出産は、確かにリスク(流産や染色体異常)は高まるけど、それさえ覚悟すれば、年齢のハンディはない」。むしろ、キャリアを積み重ね中の20代30代より切り替えが早いのではという。「仕事にしろ趣味にしろ、ひと通り自分のやり方が身についている40代は育児も自分スタイルを見つけやすいし、年を重ねるほど修羅場も経験しているから動じない強さがあるのでは」と、これから高齢出産に挑戦しようとしている人々に心強いエールを送ってくれた。
効率と母の満足度を優先 保育園のために引っ越す
ワーキングマザーとなり、今後は「段取りを良くして効率の鬼になる!」と矢野さん。がむしゃらに働くのでは母の体に無理がくる。「子どもにとって母が元気でいることが一番大事。仕事と育児のバランス満足度を高めたい」。矢野さんは、そのために、妊娠中に保育園の待機児童がゼロに近い会社の近くに住まいを移し、仕事と育児の両方にかけられる時間を確保した。
何を優先させるかは人それぞれ。「ライフバランスは母が100人いたら100通りあるはず。それを決めるのは母自身。だからこそ情報収集が必要」。情報があれば、選択肢は増え、満足度は上がる。しかし「現在の子育て情報は専業主婦を想定したものがメーンで、働く母や、働きたい母への情報が少ない」。そんな経験から、カフェグローブの子育てカテゴリーで、得てきた知識や見えてきたことを積極的に発信していこうとしている。
年齢という枷(かせ)をはずして動くと出会いがチャンスを運んでくれる
時代に変化の波がきている。「現代の女性は確実に10歳若返っている、というお医者さまもいるし、40代だからこんなファッションを、なんて年齢で分けるマーケティングも通用しなくなっている」。ライフスタイルや価値観で人を分類する時代だから年齢で何かをあきらめる必要はないということだ。「55歳になったとき45歳だわ!と思ったら何でもできるでしょ。若い世代のおしゃれもできる」と、再起動をねらう女性たちを激励する。
年齢という枷を外して目の前の仕事をやってみる。すると人との出会いが始まり、運命は回り始める。矢野さんの人生にも節目に必ず出会いがあった。「いただいたご縁は誰かにつなぐ」ことも忘れない。
矢野さんの「やる!と決めたら絶対に迷わずやる!」という覚悟と年齢へのこだわりのなさが、成功の秘けつなのだろう。
(LETS 第0期生・前川祐美子) |